２５　「偶然の出会い」(社労士合格体験談)

その大学に入るのは初めてでしたが、試験会場である教室は、机に段差がある造りです。

まるで古代ローマのコロシアムのようです。

勉学に励んでいた（？）大学時代を思い出しました。

普段は若者たちが集う大学のキャンパスも、今日はおじさまおばさまたちでぎっしりです。

教室を見渡すと、社会保険労務士試験は受験生の年齢層が比較的高いことがわかりました。

私が受験した教室では、２０代の私は若い方でした。

若くてきれいな人がいるのを期待していた（？）私は少しテンションが下がりました。

きっと都会の会場にはワンサカいるはずです。

教室に入ってから５分ほどたった頃、大きめの旅行バッグを担いだ男性が入ってきました。

バッグにはぎっしりと物が入っているようで、まるでこれから海外旅行に行くような格好です。

教室をキョロキョロと見回し着席しました。ちょっと不思議な人物です。

でも良く見ると見覚えのある顔でした。

「あっ先輩。先輩も社労士の勉強をしていたのですね？」

その男は、私と同じ会社の総務課の先輩でした。

「おー。君もかい」

緊張して心細かった私は、先輩のおかげで少しだけ気持ちが落ち着きました。

その先輩は今回でなんと５度目の挑戦だということ。

少し前までは予備校も利用していたが、今は独学で勉強しているとのことであった。

自分と同じ職場の人が、同じ資格を目標として勉強していることは、正直うれしく感じました。

同じ大学の同じ教室で会うなんてすごい偶然ですよね？

「先輩もがんばっているのだな」と一人で納得しました。

そして、集合時間になり、試験官が教室に入ってきました。

年輩の試験官はおそらくボスです。

口調からベテランであることがわかりました。

ボスの脇には補助として数人の若い試験官がいました。

にわかに教室内に緊張感が走るのがわかりました。

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