TACの1月~7月簿財速修コース2年間受講体験談
1.速修コースの開始1ヶ月程度
2.クラス開始から2~3ヶ月目
3.速修クラス開始4ヶ月目~5ヶ月目
4.TACの自習室について
5.カリキュラム完了と直前1ヶ月
6.直前全国統一模試のこと
7.簿記論・財務諸表論の試験当日
8.受験2年目の学習開始について
通信で頑張る社会人の方はLECオンラインサイトを一度ご覧ください。
1.速修コースの開始1ヶ月程度
僕は大学3回生の冬1月から税理士試験合格を目指すために専門学校であるTACに通い始めました。
受講前から簿記2級まで取得していたので、1月からの簿財速修コースというのクラスを受講しました。
簿財の速修コースは簿記2級まで終了していることを前提に、簿記論と財務諸表を1月から7月までの7ヶ月間で受験合格レベルまでに引き上げるというクラスです。
1回3時間の授業を週に2回ずつ、簿記論と財務諸表論を合わせると週に4回のペースで毎週受講していくという、すごくハードなクラスになっていました。
簿記論・財務諸表論とも、最初は簿記2級の延長のような感じで非常に簡単な説明や問題から入っていきますので、スイスイ進んでいくことができます。
特に予習復習をしなくても既に分かっている内容がほとんどでしたので、簿記2級の復習のような形のイメージでしかなかったのです。
それが2月に入る頃から徐々に内容が2級のレベルを超えて難しくなっていくことがわかってきました。
簿記では基本的な部分は全て仕訳になります。仕訳を作れるかどうかが鍵です。
問題を読んでどうしてこの仕訳になるのか?というのを繰り返し繰り返し学習していきます。
仕訳の難易度が問題の難易度を決めるようなイメージがありました。
一方、財務諸表論においては計算問題は勘定科目の整理をするというような内容で、企業の決算書に掲載する正式名勘定科目を頭の中にインプットしていくという内容が、初期の頃の財務諸表論の学習内容になります。
簿記論では割と曖昧に使っていた勘定科目でも、財務諸表論では正式名称使わなければなりません。
それは証券取引法や商法に明記された内容に即して開示する義務が企業にはあるからです。
単なる長期借入金であったとしても財務諸表論上は1年以内に返済期限の到来する長期借入金なのか、従業員に対する借入金なのか、はたまた役員に対するものなのかなど、明確に区別し仕訳していく必要があります。
簿記論に関しましては取引の中で内容を理解しそれを仕訳に表現していくという、難易度の高い問題が徐々に増えてきます。
それぞれの科目で3回から4回ほど、授業をおこなえば、復習しなければ付いていけない内容も徐々に多くなってきます。
簿記論も財務諸表論も、それぞれ週に2回合計6時間ずつ授業が進むというのは、あっという間に復習する量も増えてしまうということを意味していました。
2.クラス開始から2~3ヶ月目
簿記論のクラスは70人~80人くらいの大所帯で顔と名前も一致しなかったのですが、財務諸表論のクラスは20人弱のクラスで顔がほぼ分かるメンバーでした。
ポツポツと2~3ヶ月目ぐらいから授業の開始前に話をする小さなグループが増えていき、人間関係が徐々に出来てきました。
実際の教室のクラスだったので、そういった話せる友人が増えてくるとお互いに勉強の様子を話したり、先生に対する質問をみんなでしたり、授業の内容の確認をし合ったりと、お互いサポートできる関係が強みになってきます。
このように教室内で顔見知りができてくると、学習するのも楽しくなってきますし、お互いに、有効な情報交換することによって相乗効果も出てきます。何よりもライバル同士切磋琢磨できる関係というのは、自分の実力の向上には欠かせないものです。
学習の進捗としてはまだはじまって間がない期間なので、復習する項目もそれほどなく、授業について行くのも楽勝なのですか、この後、4ヶ月目5ヶ月目以降になってきますと復習も量が膨大になってきて新しい項目を覚えることが非常に大変になってきます。
特に財務諸表論においては、計算問題は順調に進んでも一番大変なのは理論覚えて行くことです。計算問題ばかり進めても。理論問題の暗記という部分で学習の遅れが出てきます。
財務諸表論の理論問題の暗記は、当初は理解も伴わなければ、なかなか難しいものなので、計算問題と並行して必ずおこなっていくようにします。
用語や意味が分かりにくいものが非常に多いです。
簿記2級レベルからのスタートとはいえ、講座開始から数ヶ月が経過してくると、理解が伴っていない箇所も増えてきます。
現実的な受験対策としては計算問題は1日1時間でも問題ないかと思いますが、理論は空き時間や隙間時間を見つけてコツコツ継続して暗記を続けていかなければ頭に定着してきません。
そのために理論の学習時間というのは非常に膨大な量が必要とされることになるでしょう。スキマ時間の確保以外に近道はありません。
3.速修クラス開始4ヶ月目~5ヶ月目
1月から始まった速修クラスは、4ヶ月~5ヶ月目になってくると、もうゴールデンウィークが過ぎた頃になってきます。
8月月初の試験日のことを考えるとゴールデンウィークというのは税理士試験受験者にとっては一番の勉強のかき入れ時になります。
特に仕事をしながら学習を継続されている方にとっては、この期間に1日10時間ぐらいは最低でも勉強しておかなければ後々に響きます。
この頃になってくると簿記論・財務諸表論ともに全ての学習内容の半分以上学習したということになります。
復習内容のボリュームも非常に増え、最初の頃予習をしていたメンバーも簡単な予習どころか、過去の授業の復習すらままならないという状況になります。
脱落者も徐々に増えてくる頃です。高い投資を最初にしているので、何とか諦めずに継続しなければなりません。
僕は学生だったので、大学とダブルスクールをしていました。
この時期はほとんど大学には通っていなかった記憶があります。
そのため、復習に関しては十分な時間を割くことができました。多い日は1日12時間ぐらい問題演習や復習に費やしていました。
大学へは行かずにそのままTACの自習室に行って、朝から晩まで学習をするという日をずっと送っていました。
4.TACの自習室について
ちなみにTACの自習室は受講生は無料で使えたので朝一番に自習室の机の席を確保します。
朝一からすごい混雑で早く行かなければ席が埋ってしまいますので、いつも開校と同時に行くようにしていました。
お昼は近くのカレー屋さんで食べたりお弁当買ってきて休憩所で食べたり、朝一番でとった席に荷物を置いたままにして貴重品だけ持って30分ほど席を離れて昼食を食べることが普通でした。
食べ終わればすぐに学習を開始します。
そして確か21時まで自習室が開いていたので、18時や19時くらいには切り上げて、帰宅するようにしていました。
今も自習室がこのような状況なのかどうか分かりません。
私の場合もう何年も前の話になります。しかし受験生が大挙して押し寄せてみんな必死で静かな中で勉強し、1日中そういった生活を送っているというのは、専門学校の中でいる受験生にとっては今も昔も変わらないのではないかと思っています。
一日中勉強しているのは、ほとんどが学生と思いますし、受験浪人、就職浪人し勉強を継続している人かもしれません。
また自宅が税理士事務所であるので、親の事務所を継ぐために就職浪人しながらずっと税理士の受験勉強を何年も頑張っているという方もいらっしゃいました。
みんな人生様々です。
自習室は会計専門学校の独特の、カタカタという電卓の音だけが静かな教室中に響きわたっている感じです。
年齢的には圧倒的に20代の男性が多いです。
女性も学習している人はいますが、それでもやはり男女比で8対2もしくは9対1くらいではないでしょうか。
ごくたまに40代・50代・60代以上等、年配の方もいらっしゃいますが、大部分が若い世代同士で和気あいあいとすごしているので、年配の方は少々居づらいのではないかと思われました。
税理士・会計士を目指す方々の自習室内での勉強の集中力や、学習時間の長さを見ていると、社会人になって仕事をしながらの学習というのは、こと受験だけを考えると大変なハンデを背負っていると言わざるをえません。
学生が猛烈な勢いで勉強を進めている時間に、仕事を持っている方は、もちろん仕事をしているからです。
会計事務所や税理士事務所などで実務の仕事をされている方は良いかもしれません。
しかし一般企業で、例えばメーカーなどで経理の仕事をしながら夜だけ税理士の受験勉強を平日行うといった方であれば、何らかの形で学習時間の少なさをカバーする方法を編み出さなければならないでしょう。
社会人受験生の方で通信講座などで学習を継続されている方は是非休日にでも専門学校の自習室を覗いてみてください。
大変なプレッシャーを感じることになるかもしれませんが、これだけ集中して長時間勉強している人たちと戦うといった事は、どういう作戦で、例えば2年掛かりで1科目ずつを制していくのか?など税理士受験においての戦略の策定が求められます。
専門学校の自習室を見ることは学習内容やカリキュラムを見るだけでなく、その専門学校の教材や方針が如実に反映されている最たる部分を見ることなのです。
5.カリキュラム完了と直前1ヶ月
7月上旬で全ての学習項目を終わりますので、7ヶ月間の速修クラスとはいっても実質は6ヶ月で全ての学習領域を完了させるカリキュラムになっています。
7月の1ヶ月間は問題演習や答練、ひたすらおこない続ける授業の復習の1ヶ月間になります。
ただし、6ヶ月で全てのカリキュラムを終了させる速修クラスでは、7月に入っても新規に学習した内容が消化しきれていないことがほとんどです。
答案練習の時期になってきますと、税理士試験の場合、受験回数が2回以上の方とも同じ土俵に立つ形になってきますのでここで全国的にどれぐらいの順位が自分で初めて分かるようになります。
おそらく最初はショックを受けることになります。
私の場合もそうでした。6ヶ月前の1月に8月上旬の受験を目指して一斉にスタートした同じクラスの仲間達の中では優秀な成績であっても、受験のベテランの方々が入ってくると一気に順位は下がってきます。
そういった中でこの7月の1ヶ月間で実力が上位にランクイン出来るように上げていき、合格を勝ち取っていくのは至難の技です。
しかし合格する人というのは必ず最後の最後まで諦めず、試験当日に最高の状態で実力を発揮するのです。
最後まで諦めずに8月の試験日に自分の学習内容実力をピークに持っていかなければなりません。
これが出きた人から合格していくようなイメージがあります。本当の実力と、精神的強さが試される試験なのです。
6.直前全国統一模試のこと
確か7月の中頃だと思うのですが、TACには全国統一公開模擬試験というのがありました。
僕は簿記論と財務諸表論の2科目についての全国統一模擬試験を受験しました。
これで全国的に今年の大体の傾向や順位が分かるということもあり、ほとんどの受講生が受験します。
主にTACの受講生と元受講生が主な受験対象となっていました。
僕はこちらの模擬試験で簿記論と財務諸表論ともにB判定の合格ラインが出ました。
B判定といえば合格する可能性が50%以上あり実力を余すことなくことなく発揮できれば合格できるのではないかというラインです。
ただこの模擬試験は、僕が受けた時は問題が易しかったのです。
僕は易しい問題の時は、通常授業内のミニテストでもいつも比較的高得点が取れていたのです。
簿記論と財務諸表論という問題は試験問題で難しくしようと思えば、いくらでも難しく、難易度を高く設定できる試験です。
そのため、易しい問題で高得点を取り、合格可能性が高いと言っても、やはり本試験問題で非常に難易度の高い問題や特殊な論点の問題が出たときには歯が立たない可能性もありました。
だからといって受けなくても良いということでもないのですが。
本試験前にある程度の緊張感を持って模擬試験にチャレンジできるということはいい腕試しになります。
本試験の貴重なシュミレーションができますのでこの時に不安な事項を確認しておく方が良いでしょう。
特に緊張した場面での時間の配分は非常に重要な合否の決定要素となります。
最初に難しい問題が出題された時の対処法どうするか、やさしい問題から解いていくという割り切りも必要になります。
7.簿記論・財務諸表論の試験当日
8月2日、僕は近畿大学東大阪キャンパスで簿記論と財務諸表論の試験を受験しました。
当日は非常に暑く、また、会場内はクーラーが効いていました。暑さ対策・クーラーの寒さ対策、療法が必要だったことを記憶しています。
その時は1月から7月まで学習していた速修クラスの簿記論と財務諸表論以外にもうひとつ税法を受験してました。
それは合格までの目標学習時間が200時間程度とされていた消費税法の受験でした。
勉強時間が200時間程度と言うのがおそらく計算問題の方で、理論はエンドレスに暗記時間が掛かるはずです。
この数字に誤魔化されてはいけません。完璧に暗記している理論問題が、10個ほどしかない状態で消費税法は試験に臨むことになりました。
もちろん簿記論と財務諸表論をメインに勉強を進めていたので、消費税法の計算問題も最後まで満足にできない状態での受験でした。
試験日に簿記論と財務諸表論と同じ日程が組まれているのが消費税法です。
同じ日に全ての試験が受験できる、そういったことも考慮して消費税法の受験を初年度に受けることを選択しました。
ただそれだけのことで、次年度から学習する予定だった税法の事前シミュレーションという位置付けでした。
近畿大学のような広い受験会場では、周りの雰囲気に流されることなく、却って自分の目の前の答案に集中できます。
簿記論は出来る問題から解いていった感じで、難しい問題は手を付けることもなく試験終了時間を迎えました。
財務諸表論に関しては、理論問題でじっくりと考える時間を取ってしまい、ボリュームの多い計算問題で結局全ての問題が解けない状態になってしまいました。
時間配分は改めてかなり重要な問題だと再確認しました。
もっとも、全てできなくても、実質的には競争試験であるので、大体上位10%以内に入れば合格の可能性が非常に高まります。
年度や科目によっては数%しか合格率がない年もありますが、それは不運だったと諦めて割り切ることが必要な試験です。本音は割り切れないのですけどね。
財務諸表論では、計算問題のスピード上げていく練習をし続けておかなければ、手が止まってしまうと理論問題を考える時間が確保できなくなってしまいます。
理論問題は、はっきり言って覚えていることを書くだけの試験です。
試験当日に理論的に考えて答えを導き出せるようなことはなく、覚えている内容で近いものをどんどん書いていくと言ったアグレッシブな気持ちで対応する方が良いでしょう。
財務諸表論の理論は難しすぎます。(笑)
財務諸表論の計算問題に関しては、制限時間内にすべての計算が出来ないくらいのボリュームがあります。
しかし、簿記論と違って計算問題は内容に重きを置いておらず、形式に重きを置いています。
簿記論と違って比較的優しい計算問題が多いのですが、1年以内の分類の区分けなど形式に細かい気配りをしなければならず、そのため科目の正式名称を証券取引法に即した形で書き、財務諸表論が作成できればある程度の加点はされます。
計算問題がそれほど簿記論と比べて難しくはないので、計算間違いは目立ってしまいます。
もちろん計算が合っていればその分は得点に反映されます。
8.受験2年目の学習開始について
税理士試験は8月上旬に試験は終了しますが結果発表は12月中頃になります。
そのため合格発表までの4ヶ月間のすごし方が問題になります。一度受験した同じ科目をもう一度復習していくのか、もしくは、新しい科目を新規に学習していくのか、試験の出来次第で大変悩む部分になります。
間違いなく不合格だと思っていても合格している可能性もありますし、間違いなく合格していると思っても不合格になっていることもあるでしょう。
実質的には受験者間の競争試験である税理士試験では、自分の試験の出来が良くなかったとしても周りも同じように出来が悪ければ合格していることもあります。
これは自分でしか分からないことです。
周りの受験生の意見に流されることなく、ご自身でしっかりと自分が書いた答えを思い出し、解答速報などと照らし、合わせて次年度はどの科目を学習し受験するかを決定しなければなりません。
試験終了後すぐにお盆休みに入りりますが、このお盆休みも活用する方が良いでしょう。
ガツガツ計算問題を解くことはしなくてもいいかもしれませんが、理論等暗記ものの学習は途切れることなく継続した方が頭に定着します。8月以降の体験はまた時間のあるときに続きを書く予定です。
通信で頑張る社会人の方はLECオンラインサイトを一度ご覧ください。